memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「手を前に出して」
ロープで繋がれた手を築路に向けると、どこから出したのか、ナイフを取り出すとロープを切ってくれる。
あ…跡になってる。
「後で冷やそう。とりあえずここを出るぞ」
「うん」
あ、でもどうやって出るんだろう。
扉はあるけど、鍵とか掛けられてるだろうし。
って、え?!
築路がドアノブを回すと、普通に開くじゃないですか。
え、え?
「どうした?」
「いや…鍵とか掛かってるものじゃないの?」
「…ああ、バカなんだろ」
え、鍵かけてないのと、バカってどういう関係が…。
「ねぇ、築路。背中に持ってるそのカバンってなに?」
「保険…だな」
保険?
「まぁ、お守りみたいなものだ」
お守りって、そんなに大きいのだろうか。
それとも、財布とか、何かに付けてるのかな?