memory〜紅い蝶と私の記憶〜
つき君とも離れられなくて、昶も失いたくないなんて、強情だよね。


でもね、記憶が無くて、辛くて…。


そんなとき支えてくれて、笑顔にしてくれたのは昶だったの。


大切で大好きな人。


でも私はつき君を選んだ。


あんなに守ってくれて大切にしてくれたのに…私は傷つけることしか出来ないっ。


涙が出そうになるのを、手をぎゅっと握って耐える。


「…星南、笑って?俺は星南の笑顔が好きなんなんだ」


笑って…?


ふと見上げてみた昶はどこか悲しそうな表情をしていた。


泣きそうになっていたの、気づい、た?


「俺ね、知ってたよ。というか、気づいてた」


「え?」


気づいてた?


「星南の心には、もう決まった人がいるって。気づいてた」


え?


でもつき君が好きって、大切な人がいるって気づいたのは記憶を取り戻してからだよ?


本人の私よりも先に気づいてた?













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