memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「それでも自分を少しでも見てくれたらいいなって。そこにつけ込んだのは俺だから。だから謝らないで?」


「つけ込んだなんて思ってないっ。昶のことを好きになりかけていた。それは本当だよっ!」


「うん、わかってるよ。ずっと心の準備はしてきてたから。俺は大丈夫」


でもっ!!


それでも…っ。


「星南」


「お兄ちゃん…?」


「昶が大丈夫っていうなら大丈夫だ。昶が星南に嘘をついたことがあるか?」


昶が私に?


「ううん。…ない」


「だろ?だから昶の、昶自身の言葉を信じてやれ?」


昶自身の…。


「…わかった。昶がそう言うなら私はもう謝らない」


昶がそう望む限り。


だって昶は謝罪がほしいわけじゃないんだもんね?


だから私は昶が好きだって言ってくれた笑顔で、昶との今までにさよならするよ。


そしてこれからは、お友達としての私へとなるんだ。











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