los episodios de suyos
『おおっと、冷静沈着な“クロノス”が感情を顔に表すとはな。世界史に残る出来事じゃないか!歴史的瞬間に立ち会えるなんて、僕はラッキーだ。』

『煩い!!アンタなんか殺してやる!!』



 怒りを煽る饒舌なスペイン語に奴が言ったような感情剥き出しの言葉を返して引金を引こうとした時、アタシの指の間に別の指が割り入ってきた。

 優しげな見た目とは裏腹に、男っぽいしっかりとした手。自分を止めようとしているのが誰か、すぐに分かった。



「……群、手を離して。」

「嫌だね。離せばお前は殺るだろ、あいつを。」



 日本語でなされた会話に首を傾げた者が数名。ソイツらにはお構いなしに、群は顎で忌々しいアイツを差し、アタシはソイツを睨み付けていた。



「分かってるなら離しなさいよ。アイツを仕留めなきゃ気が済まないの。」

「ボスが感情を顔に出すな。それから感情で人を殺すな。一番最初に教わったことだろうが。
……冷静になれ、未来。」

「随分と生意気なのね。それは婚約者面?命令口調だけど、まさか命令してる訳じゃないわよね。」



 アタシと群の間には氷点下の空気。部下達は当然の如く怯えていた。
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