los episodios de suyos
3.dos luces de la esperanza
 物心ついた頃からこの世界に居たオレは、代々続く暗殺家業の跡継ぎとして、この世に生を受けた。イギリスのサンダース家といえば、裏社会ではそれなりに有名だった。迅速で無駄のない仕事っぷりに定評があったと記憶している。

 収入は安定していて、失業の可能性はほぼ皆無。当然ながら、オレは家業を継ぐことになっていた訳だが。ある二人の人物との出会いが、オレを変えたのだ。



『――あなたって、とっても面白いのね!』



 そう言って笑ったのは、任務中に誤って道端で足を引っかけてしまった女だった。“変な女だな”。彼女の第一印象はそれだった。後に最も大切な人になるなんて、知りもしなかった。



『足を引っかけちまって謝ったことの何処が面白いんだ?』

『やぁねぇ、とぼけても無駄よ!』



 女は元気で愛らしいその声を、フッとひそめた。クリアなアメリカ英語で、カナリアがオレの耳元でそっと囁く。



『その腰元の銃、悪いけど気付いちゃったのよね。』

『なっ……!?』



 悪戯っ子のように舌を出して笑う彼女。オレの驚き顔を見て、まるで“作戦成功”とでもいったように無邪気な表情を浮かべた。本当に、変な奴だと感じた。
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