los episodios de suyos
『……何で気付いた?』

『だって見えたんだもの、仕方ないじゃない。あなた、もしかしてちょっと危ない仕事に就いてるの?私、そういうスリリングな生活って憧れるわぁ!』

『スリリングも何もねぇよ。お前には関係ない世界だ。オレはもう行くぜ?これでも任務中なんだ。』



 さっさと立てよ、追っ手がいつ来るか分からねぇんだ。そう言いながら、小さな手を取って立ち上がらせてやる。女は『ふーん……』とか何とか言って、ニコリとした笑みをオレに向けた。



『な、何だよ?』

『私はセリア。セリア・ハーツよ。私達、絶対また会うから。もし私の予言が当たったら、お友達になってね!』

『はぁ!?』



 何だ、訳が分からねぇ。突然こんなことを言い出すなんて、こいつは狂ってんのか。もしくは、夢見がちなお姫様か。いずれにせよ、彼女が“絶対”と言ったクセに“もし”と続けたおかしな女だということに変わりはない。

 追っ手が来たので、無関係な彼女を置いてとりあえず逃げる。無事に奴らをやり過ごしてから、ホッと息をついた。彼女の名前はすぐに忘れてしまったが、あの意味深な笑顔だけは、何故か記憶に焼き付いて離れなかった。
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