los episodios de suyos
 ――それから一週間程経った頃だろうか。久し振りに休暇がもらえ、仲間達と街をうろついていたある日。奴らの一人がこう言い出した。



『こないだアマンダ達が噂してたんだけどよ、最近イギリスで有名になってる占い師が居るらしいぜ!何でもピタリと言い当てるし、将来に繋がる助言もくれるってよ。なぁ、ちょっと行ってみないか?』



 胡散臭い……これは胡散臭いぞ。やめようと訴えるオレに対して、他の奴らは意気投合。自分も仕方なくついていく羽目になったのだった。

 到着したのは静かな路地裏。薄暗いその場所に、占い師とやらは居た。薄紫のベールを纏い、それより少し濃い色をした手触りの良さそうな衣装を着た人。柔らかく声量のないその声からして、おそらく女だ。

 繁盛しているのかと思っていたが、収入はそんなに多くなさそうだ。どうして小綺麗な舘を借りて、もっと大々的に宣伝して商売をしないのだろう。占い師ってのは変わり者だな。やっぱりオレには取っ付きにくい。

 占い師に声をかけようとする仲間達。それを見て少し離れようとした、その時だった。声量のない声が、俺を呼んだのは。



『……そこの銀髪のお兄さん、ちょっと。』
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