los episodios de suyos

『な、何だよ？』

『あんた、気を付けないと近々大きな怪我をするよ。向こう一ヶ月の仕事は全て休みな。忠告を守らなければ、命を落としかねないよ。』



　――何なんだ、この占い師。まるで、オレに一ヶ月の長期任務が入ってることを知ってるような口振りじゃねぇか。もしかして、本物なのか。

　オレの心理を読み取ったのか、口元を隠した占い師が目だけで笑った。薄いウォーター・ブルーの瞳が、まっすぐこちらを見つめている。



『私は、嘘はつかない。信じるか信じないかはあんた次第だがね、お兄さん。』



　言うことを聞かなければと、何故だかそう思わされた。仲間達も同じだったのか、一人が急遽親父に連絡を入れて、オレに仕事を休ませるようにと交渉し始めた。父はこちらの話を受け入れ、『言う通りにしてみよう。我が家の大事な跡継ぎを失う訳にはいかないからな』と言ったそうだ。

　――占い師の言葉を守り、任務に行かなくて本当に良かった。仕事内容は“ある敵対組織を潰すこと”だったのだが、奴らの狙いが何と、オレを殺してサンダース家を没させることだったらしいのだ。忠告のお陰で命拾いした。そう思ったオレは、占い師の姿を探し回った。