los episodios de suyos
 ――オレより八つ下だというセリア。魔女の血を引く家庭の生まれなどではなく、彼女が占いというか、先を読む力に優れているだけらしい。“だけ”と言われたが、オレ達にとってみれば相当な能力だ。そう言ってやったら、『そんなこと言われたの、初めて!』と、セリアは顔を綻ばせた。オレの家業のことを聞いても、彼女が好きらしいスリリングとやらが大きいと喜んでいて、本当に変わった子だと思った。



『どうしてイギリスに?』

『仕事よ、仕事。まぁ、アメリカの外に出てみたかっただけなんだけどね。アパートを借りて、一人暮らししてるの。』



 微笑む横顔に、胸がくすぐられる気がする。何度か会う内に、それは確信となった。セリアに助けられる度に、そして彼女を助ける度に、お互いが側に居る必要性を感じた。何より、居心地が良い。柄にもなく、平穏な暮らしを望んだこともあった。

 彼女を愛しく思えば思う程に、他人の命を平気で奪う自分がとても愚かな存在に思えてきた。任務でほんの少し弾丸が頬をかすったくらいで、言いようのない恐怖に襲われる。大切な人を持って初めて、“死ぬのが怖い”、“誰かを失うのが怖い”と思った。
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