los episodios de suyos
 やがてオレは、家族に反発するようになった。代々続く残酷な家業に対する反感をぶちまけると、酷い時は弾が飛んできた。どうしてこいつらは、人を殺して平然と生きてるんだ。異常だ。これまでの自分を否定するような考えだが、この答えに辿り着けたのは他でもない、セリアのお陰なのだ。



『グレイ、一体どうしたんだ?お前が一番有望な跡継ぎなんだぞ?長はお前にと思っていたのに……あの女か?恋人だとかいう女にそそのかされたんだろう?』

『違う!セリアは関係ねぇ!!
……オレが一人で勝手に決めたことだ。長なら、長男のオレじゃなくて、トニーでもレオンでも構わない筈だぜ。奴らには奴らの才能がある。』

『しかし、お前が一番……』



 顔をしかめる父と、俯いたままの母。オレは躊躇いを捨てて、はっきりと告げた。



『暗殺家業なんてやめる。もっと別のことで銃を活かしたいんだ。大切なものを守るとか、な。』



 オレの瞳を見た父母は、それ以上引き止めるようなことは言わなかった。ただ、『後悔するなよ』と言っただけ。オレは頭を下げて玄関を出てから、家に向かってもう一度深く腰を折った。ここをくぐることは、この先二度とないだろう。
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