人事部の女神さまの憂い
あの人、またキスしようとしてた。
やっぱり、かなりの遊び人なんじゃん。
なーんか、残念だな、と思いながらも、とりあえずお礼のメールでも入れようとスマホを取り出した。
『お仕事、お疲れ様です。先ほどは、ごちそうさまでした。美味しいごはんだけじゃなく、仕事の相談にものっていただいて、とてもいい時間を過ごせました。ありがとうございました。弟もいつもバイトでご迷惑おかけしてると思いますが、今後ともよろしくお願いします。
仁志侑里』
SNSで送信した後、ブラウザを立ち上げて迷ってしまった。
”柏木達也”
入力して、検索ボタンを押そうとしたところで、その手を止めた。
ネットで得られる情報じゃなくって、機会があるなら直接本人から知りたいな、と思ったから。
そんな機会があればいいな、とぼんやり思いながら眠りについた。