人事部の女神さまの憂い
「お忙しいのにお時間とらせてしまってすみません。今度何かお礼させて下さい」
そう言いながらカフェをでると、少し考えるような仕草をして
「じゃあ今度、食事付き合って下さいよ」
少し色素の薄い瞳で私の気持ちを探るように見つめられた。さっき感じた自意識過剰な感じはなんだったんだろうと、その視線になんだか居心地の悪さを感じたものの
「あの、じゃあ私オススメのお店でご馳走させてください。せめてものお礼に」
つとめて明るい声をつくった。
今日会って改めて感じたのは、原田さんの仕事への意識の高さだ。原田さんの場合は、人事だけじゃなく全体を見ているはずなのに人事に関してもかなり勉強をしている。
話をさせてもらっただけでも、かなり刺激を受けた。
最近、感じていた仕事への停滞感。
でも、それは、まだまだ自分は勉強不足なだけだとわかった。
同じ仕事をする先輩として尊敬できる素敵な人だなと、思いながら帰路についた。