人事部の女神さまの憂い

「確かめません」

その手を思いっきり振り払った。

ふじっきーフラれてやんのーと立花さんと2人でキャーキャーいっていた香織さんが、でもさ、と真剣な声で話し始めた。

「確かに先に襲っちゃったんだけど、私ちゃんと大輔に言ったんだよね。私はあなたのことが好きだから、他の子とはもうしないで、って」

「で、ヤリチンはなんて答えたんですか?」

会社ではヤリチンって呼ぶなよ、という情けない声の立花さんを無視して香織さんに向き合った。

「好きな子とする気持ち良さ知っちゃったから、もうお前以外とはできないって」

言いながらキャーっと顔を赤くする香織さんにつられて、私まで顔が赤くなってしまい

「なんか、いい話なのかそうじゃないのか、よくわかんないですね」

感想を一言いうのが精いっぱいだった。


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