人事部の女神さまの憂い
「ちょっ、藤木さん」
その手をよけようとすると、逆に手を掴まれて予想外にあったかい藤木さんの両手に包まれた。
「でさ、ダメだったときはお兄ちゃんたちが慰めてあげるからさ。安心しろ」
そう言って片手で私の鼻をつまんだ。
涙がでそうになった。
つままれた鼻が痛いっていうのもあるけど、藤木さんのあったかい気持ちが嬉しくて。
それと同時に、どんだけ会社で頑張ってニシユリ様をうまく演じられるようになってきても、やっぱり私はただの甘えただな、とちょっと反省をした。
「ありがとうございます。頼もしいお兄ちゃん、嬉しいです。素直になれるように、頑張ってみます」
目にたまった涙に気付かれないように、めいいっぱいの笑顔をつくってお礼を言った。