人事部の女神さまの憂い


噛むのを我慢してなのか、ひたすらキスをしてくれていたおかげで、朝になったら唇が腫れていた。

鏡の前でその唇に手を伸ばしていると、後ろから覗いた柏木さんが

「こっちの方が目立っちゃうね」

いたずらっ子のような顔で私の唇をつついて来た。

「今日セミナーなのに・・・」

言いながら、楽しそうにしている柏木さんをにらむと

「いいじゃん。色っぽさ倍増で、青少年いっぱい寄ってくるよ」

更に楽しそうにからかってくる。


ちょっとくすぐったい、くだらない言い合いをしていることに幸せを感じていた。



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