人事部の女神さまの憂い

「初めて飲んだけど、これいいですね」

ついついテンションがあがって藤木さんに話しかけると

「だろ。俺、家ではだいたいこれだな」頷きながら味わっている。

そこで、ふと気になったことを聞いてみた。

「ていうか、これから一升瓶あけちゃいましたけど、さすがに今日飲み切れないですよ。家、居酒屋がわりにでもするつもりですか?」

するとにやけた顔をして

「あ、バレちゃった?」とすんなり肯定をする藤木さん。

「だって、ここ居心地いいし、ツマミもあるし。どうせ、お前も淋しく一人で飲んでるなら、いいじゃん」

甘えるような口調で失礼なことを言ってくる。ムカついて

「淋しくって、失礼ですね。私もいつも1人で飲んでるわけじゃないんですからねー」

反論すると、

「ほー。若いツバメ?どうせ、あいつには、ほっとらかされてんだろー」

バカにしたようにからかってくる。


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