人事部の女神さまの憂い
その日も藤木さんは自分の家かのようにくつろいで、くだらない話をしながら思う存分焼酎を愉しんで夜中に帰って行った。
「また来るわ」とご機嫌に手を振って帰っていく藤木さんを今日はちゃんと見送りながら、なんでか「また来るわ」を普通に受け入れている自分を不思議に思った。
いつも自分勝手だけど、それを自分勝手だと人に思わせない技をもっている。
うちの会社は立花さんの発想力から生まれるサービスがウリだけど、それを世の中の人に知ってもらって、広く支持されるものにしたのは藤木さん。一般的には「カリスマ」と呼ばれているのは立花さんだけど、人を惹きつけるという意味でのカリスマ性をもっているのは、きっと藤木さんだ。