人事部の女神さまの憂い

これ以上心配かけちゃダメだ。

「遊ばれてるだけなのに、本気になっちゃって。イタイですよね―」

無理矢理笑って見せると

「無理すんなよ」と藤木さんの腕の中にすっぽり包み込まれた。

まだ温まってない部屋の空気は冷たいけど、藤木さんの腕の中は、とってもあったかくて、今度こそもう我慢が出来なかった。

藤木さんにしがみついて、子どもみたいに声を上げて泣いた。

「今朝ね、あんなことになるまで、すごい幸せだなって思ってたんです。朝一緒にどこかにでかけるとか、はじめてで。久々に会えて、すごい優しくって。もしかして、愛されてるのかなーなんて勘違いしちゃって。そんなわけないのに・・・」


< 335 / 471 >

この作品をシェア

pagetop