人事部の女神さまの憂い

「そう、はっきり。
 このままだとさ、お前、遊ばれてたって思いながらも、あきらめきれずに連絡待っちゃうだろ?」

そう言われて、はっとする。この先のことなんて、全く考えられてなかったけど、きっとそうだ。自分からは連絡する勇気なんてないくせに、うじうじと連絡がこないかな、なんて待ってしまうんだ。

「藤木さんは、何でもお見通しですね」

「だろ?だからさ、来週末にあるプレオープニングパーティー顔だせよ」

いきなりそう言われて、何の話かと思って顔を上げると

「前ちょっと話してた、今度できる商業施設の関係者向けお披露目会。多分さ、あいつ来るよ」

頬を流れる涙をそっと拭ってくれながら、真剣な瞳で覗きこまれた。その目にドキっとしていると、優しい微笑みに変わり、一瞬で空気が和らいだ。

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