人事部の女神さまの憂い

「ニシユリ様モードじゃなくていいから、素のニシユリの中で最上級のオシャレしてこいよ。で、はっきりさせようぜ」

そう言う藤木さんは、イタズラっぽい笑みを浮かべる。その表情が、あまりにも子供っぽくって、思わず笑いが出てしまった。

さっきまでの、沈んだ気持ちがちょっと浮上する。

「どうせフラれるなら、女らしくちゃんとフラれます」

はっきりと言葉にすると

「そう、その意気だ!」と後押しをしてくれた。

なんだかんだ藤木さんに助けてもらってばっかりだなと思いながら、もう一度、安心できる藤木さんのあったかい腕の中に顔を埋めた。



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