人事部の女神さまの憂い
「いや、そういわれても仕事だし。っていうか、私も好きでやってるんじゃないんだよ」
「だよね!ユリちゃんも、僕にだけしか見せたくないよね。僕だけのユリちゃんでいてよ」
ぎゅーっしがみつく腕を強めてくる。
そんなワタルの姿を見て、私の好きなワタルはどこにいっちゃったんだろう、とぼんやりと思った。
「んー。ワタルだけの、というか。ほんとは、ワタルの前でも嫌だよ。私、そういうキャラじゃないし」
ふと呟いてしまった私の言葉に、びっくりしてワタルは顔をあげた。
「え、ユリちゃん、いやだったの!?」
「むしろワタル本気で私が叱ったりしたいと思ってたの?あんまりにもワタルが情けないことばっか言うから、ついつい、というか、仕方なくというか・・・。私は頼れる素敵な先輩のワタルを好きになったんだよ」