人事部の女神さまの憂い

結局、柏木さんからの連絡がないまま仕事が休みに入った12月30日。

巧と一緒に実家に帰省をしていた。実家を出てから、最初の頃はGWとかお盆休みなんかも帰省したりしていたけど、今では年末年始くらい。友達の結婚式に呼ばれた時は帰ってきてたけど、地元に残っている子たちは3~4年ほど前にほとんどが結婚してしまったので、そんな機会もどんどん減っていた。



「巧、就職決まって良かったわね」

久々に家族4人がそろった夕食の席。母はとっても嬉しそう。

「そう。今バイトしているとこなんだけど、本当にすごい人のとこだから今から超楽しみ」

巧も母の手料理をドンドン口に入れながらも、いつもより無邪気に見える。
そして無口な父はそんな2人のやり取りを頷きながら聞いている、といういつもの家族の風景に、ほっこりとした気持ちになる。


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