人事部の女神さまの憂い

ちゃんと柏木さんと話したい。

そう思うと、気持ちが止まらなくなってしまって衝動的にスマホを手にし、柏木さんにコールをしてしまっていた。

「ゆりちゃん?」

「す、すみません。お仕事ですよね」

「うんん。大丈夫」

そういう電話口からは、紙をめくるようなバサっという音が聞こえてくる。

「お忙しいって言ってたのに、すみません」

もう1度そう言うと

「ごめん、なかなか時間とれなくって」

今度は柏木さんが謝ってくる。電話を掛けたはいいものの、何を言うのか言いたいことは固まっていなかった。なので、素直に今ある気持ちを伝えようと思った。
< 370 / 471 >

この作品をシェア

pagetop