人事部の女神さまの憂い

「ご迷惑だって思ったんですけど、会いたいなって。会って話をしたいって思ったんです」

そう言うと少し間を置いて、ふふっと小さな笑い声が聞こえてきた。

「ゆりちゃんから、そんなこと言ってくれるなんてね。―――――今、家?」

「あっ。今、実家なんです」

なんで私は今実家なんだろう。会いたいって、この状況で言ってバカみたい。今すぐにでも柏木さんのところに飛んでいきたいのに。この距離がもどかしく思う。

「そっか・・・。いつ帰って来る?3日から事務所でるから、2日までなら時間空けれるよ」

「2日に帰ります。午後には戻るんで、夜会えませんか?」

「わかった。多分、家で仕事してるから、家来てよ」

ようやく会う約束を取り付けて電話を切った。


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