人事部の女神さまの憂い
3
そして現在――――
久々に早めに帰れることに、ちょっとウキウキしながらオフィスビルの1階でエレベーターを降りたところで
「あ、侑里~!」
大きな声で呼び止められた。
「巧!おつかれ。今バイト終わったの?」
「そう。ちょうど良かった。今金欠なんだよ~。美味しいもの食べさせてよ」
満面の笑みで見つめて来る。
昔からこの顔に弱いんだよな、と思いながら
「いいよ~私も今日久々に早く上がれて気分いいし。何食べたい?」
「うーん、肉?こないだ美味しい焼肉屋教えてもらったんだよね。でもお高くて俺じゃいけなくて」
「仕方ないなー。お姉さまにお任せ」
甘えてくる巧が可愛くて、その髪に手を伸ばしながら答えた。