人事部の女神さまの憂い


「時間早いし、うちの若手はこんなお店知らないだろうから大丈夫じゃないかな」

「飯食べに行く店まで気遣わないといけないとか、大変だね」

「ほんと、もう疲れたよ」

髪をなでてくれる巧の手が心地よくて机に突っ伏して、甘えるように見上げた。


採用のために”ニシユリ様”キャラをつくって以来、

「仕事へのモチベーションに関わるから、若手の夢をつぶさないであげて」

と香織さんに言われ、会社や会社の近くなど、うちの社員がいそうなところでは

“ニシユリ様キャラ“

で振舞うようになった。

思わず素がでそうになるけど、なんとかカッコいい大人の女のふるまいができるようになってきた今日この頃。

でも、いつも気を張っていないといけないことに疲れてしまっていた。


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