人事部の女神さまの憂い
一緒にいる時間も長かったし、新人の頃から面倒をみてもらっていたせいで、優しくしてもらうのが当たり前って感覚になってた。だけど家で飲むようになって2人だけで過ごす時間が長くなっていくにつれて、そんな藤木さんの手を独り占めしたいと思うようになってきたんだ。
上司としてでも、お兄ちゃんとしてでもなくって、1人の男の人として。
きっと柏木さんの時以上に、どうしようもない。
藤木さんの女癖の悪さは散々近くで見てきたから、よく知ってる。
同じ部屋で何度も飲んでても一切甘い雰囲気にすらならないし、きっとかわいがってる妹分でしかない。
でも・・・・。
柏木さんのことで学んだこと。
藤木さんが教えてくれたっていうのが皮肉だけど、変に勘ぐってばっかりいずに自分の気持ちに素直になることが大事。
だから藤木さんにとって私がどういう存在でもいい。
ただ隣にいることができる間は、かわいがってもらえている間は、その幸せを存分に味わおう。純粋に、そう思えた。