人事部の女神さまの憂い
「会場、香織さんのこだわりですか?」
「そうなの!慌ただしいところじゃなくって自然に近いところでゆったりした式にしたいっていうのと、実はここね、大輔が1回目のプロポーズしてくれたとこなの」
ちょっと頬を赤らめて話す香織さんは幸せオーラが溢れ出ていて、いつも以上にかわいらしい。
「なんか、そういうの素敵ですね。うらやましいです」
思わず本音がポロリと出てしまった。だけど幸せにどっぷり浸かっている香織さんは、そんなこと聞いていない。
「で、交通の便が悪いからゲストみんな近くのホテル手配してるんだ。2次会とか特にやらないし、せっかくだから、それぞれで非日常な1日を愉しんでほしいなと思って」
「うわ、すごい嬉しいです!このあたり、あんまり行ったことないんですけど、海見ながらゆっくり飲んだりできるといいですね」
「ゆりは飲むことしか考えてないんだから」
笑われてしまったけど、海をみながらのんびり飲めるなんてすごい贅沢だ、と今から楽しみになってきた。できれば藤木さんと一緒に飲めたらいいなーなんて思っていたら、ご本人が到着されたようだ。