人事部の女神さまの憂い
「遅くまで付き合わせてごめんねー。仁志と侑里ちゃん一緒に住んでないんだっけ?仁志とは家近いから、なんなら侑里ちゃんも一緒に乗ってく?」
気を遣ってくれながらも、呂律は回ってないし、フラフラした足取りの戸田さん。
大学の近くで1人暮らしをしている巧と同じ大学出身で、学生時代から引越をしていない戸田さんとは家が近いらしい。
「ちょ、戸田さん大丈夫ですか?侑里、俺戸田さん心配だし、このまま帰るわ」
戸田さんを支える巧にうなづいてから
「お気遣いありがとうございます。うち、ここからでも近いんで1人でタクシー拾いますね」
と戸田さんにお礼を言い、2人の乗ったタクシーを見送った。
私も帰ろうとタクシーを探そうとしていると、
「家、どこ?」
お店を出た後、すぐに帰ったと思っていた柏木さんが後ろに立っていた。