人事部の女神さまの憂い

「あれ、柏木さん帰ったんじゃ」

と言うと

「家、どこ?」

もう一度聞かれた。

「目黒の方です」

答えると「送ってく」と近くに停められたおっきめの黒いSUV車を指さした。

「あれ。お酒・・・?」独り言のようにつぶやいた声が聞こえていたのか

「ノンアル」とだけ言って、行くぞと腕を引かれた。

あ、えっとと訳の分からないことを口走りながらも、結局車に乗せられ、送ってもらうことになった。


< 53 / 471 >

この作品をシェア

pagetop