人事部の女神さまの憂い
「あれ、柏木さん帰ったんじゃ」
と言うと
「家、どこ?」
もう一度聞かれた。
「目黒の方です」
答えると「送ってく」と近くに停められたおっきめの黒いSUV車を指さした。
「あれ。お酒・・・?」独り言のようにつぶやいた声が聞こえていたのか
「ノンアル」とだけ言って、行くぞと腕を引かれた。
あ、えっとと訳の分からないことを口走りながらも、結局車に乗せられ、送ってもらうことになった。