人事部の女神さまの憂い

唇にさみしさを感じて、離れていった唇を、ふと目で追ってしまうと

「なに?物欲しそうな顔して。この先が欲しかったら、自分からとりにくるんだな」

からかうように言って軽いキスをしてきた。


恥ずかしいやら、腹立たしいやらで、頭の中がぐちゃぐちゃになりながら

「結構です!」

とだけ言って車から飛び降りた。



なに、あのキス。

なんなの、あの男。

やばい。ずるい。なんなの。

頭の中はほんとに、ぐちゃぐちゃだった。


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