人事部の女神さまの憂い

「ま、そこまで求めちゃうと贅沢かもしれないけど“ニシユリ様”がゾクゾクするって言ってるんだもん。ちょっと期待しちゃうよね」

「もー、藤木さん。思い出すと恥ずかしいんでやめてください」

おそらく赤くなってしまっている顔を両手で隠して、ふるふると顔を横に振っていると、温かい手がぽんぽんと頭に降りてきた。

「でも、ほんとニシユリはよくやってくれてるよ」

さっきまでのからかう声とは違っていたので思わず顔を上げると、藤木さんは優しい笑みを浮かべていた。

「あ、ありがとうございます」

整った顔で微笑まれて、別の意味で赤くなっていると

「こないだは、どーも」

と後ろから声をかけられた。

聞いたことある声に、思いっきり振り向くと、そこにはスーツをカッコよく着こなした柏木さんが居た。


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