人事部の女神さまの憂い

オフィスの入るビルに到着しエレベーターに乗り込もうとしたところで,
久保君が手に持っていた紙袋を落とし資料をぶちまけた。


「もー、何してんのよ。しっかりしなさいよ」


言いながら、散らばった資料を集めていると



「ニシユリ様だ。ラッキー。あー、今日もお美しい」
「俺も叱られたい。でも、今の聞けただけでも残りの仕事がんばれそう」

エレベーターから降りてきた若手社員が通りすぎながら口にしていた。


それを聞いて
またか、と小さくため息をついた。


その様子を見ながら

「熱心な信者たちですね」

笑う久保くん。

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