人事部の女神さまの憂い

「てことはさ、柏木達也って”ニシユリ様”じゃないユリを知ってくれてる貴重な人じゃん」

「まぁ、そうなんですけど」

ぼんやり考えていると

「そんな考えんなよ。恋愛なんてタイミング、だからさ。縁あるんだったら、きっともう1回くらい会う機会はあるんじゃない?」

優しい顔で藤木さんが微笑んでくれた。

もっと私をけしかけたかった香織さんをなだめて、藤木さんはそこでこの話を打ち切ってくれた。

その夜は、結局いつも通りソファでくっつきながら寝てしまった立花さんと香織さんをほって、しょうもない話を肴に藤木さんと2人で森伊蔵を飲み干した。



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