人事部の女神さまの憂い

目的地になんとか着いて、びっくりした。

そこには学生さんたちに交じって、先生らしき人と柏木さんが居たのだ。


「あ、ユリ~!!!!」

と暢気に手を振る巧を、他の人の迷惑にならないように会釈をしながら研究室の外まで引っ張っていった。

「ちょっと。ご飯でも行けたらと思って電話したんだけど」

「飯?おごってもらいたいことなんだけど、課題の手直ししないとだから今日は無理だわ」

「じゃあ電話で言ってよ。ここまで来るの、結構大変だったんだから」

「悪い、悪い。せっかくだからユリの顔みたいなーと思って」

小首をかしげ満面の笑みの巧。

このカワイイ顔を見てると文句も言えなくなってくる。


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