人事部の女神さまの憂い

「元気そうだね。私も顔見れてよかった」

そういうと

「ユリ、かわいい~」とふざけて抱き着いてくる。

ちょっと離れてよ、ともがいていると研究室のドアが開いて柏木さんが出てきた。

なんでこの人ここに居るんだろ、と思っていると

「仁志、俺そろそろ帰るわ。さっきのとこ考え直しただけでもクオリティあがると思うよ」

と巧に声をかけた。

「ありがとうございます!これから取り掛かります」

その声を聞くと巧は、さっきまでのおふざけモードから一転。

びしっと直立の姿勢で柏木さんに向かった後に

「ごめんユリ。そういうことだから。飯、また別の時で。電話する」

と言って研究室に戻っていった。


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