好きにならずにいられない
するとタイミング良くか悪くか爽やか王子こと岡田さん達と居酒屋を出たところで会ってしまった。
あんな修羅場を過ごし、そのまま店で友人らしい人達と平気で飲んでる神経を疑ったが、そんな私の気持ちも知らず王子は
「おっ森田。お疲れさま。
森田もここで飲んでたんだね。
しかも両手に花で楽しそう。
羨ましいな」
と笑顔で冗談を交えて声をかけてきた。
「岡田さんお疲れさまです。
俺ほどの色男は女の子が寄ってきちゃうんですよね」
なんて冗談を返して楽しそうに話してる。
私としては話をせずにすっと帰りたい。
だって王子に関わってはいけないと私の第六感が激しく叫んでいる。
どうしたら上手く逃げられるかと考えていると
「今日はこれで解散?
良かったらこれからみんなで飲まない?」
なんて王子が言い出した。
私は秀一の袖を引っ張って小さく首を横に振る。それに気付いて
「女の子達は明日予定があるようなので俺だけですがお供しますよ」
と上手いこと切り抜けた。
それに続いて私も
「岡田さん達と飲みたいのは山々なのですが残念ながら今日は。
それにこんなにかっこいい人達と飲んだら今の私は心臓麻痺にでもなりそうなので当分は遠くから見て見慣れてからゆっくり飲みたいですね」
と笑顔で私なりにあなたとは飲みませんよと遠回しに伝えてみた。
「そうかぁ残念だな。
では森田君をお借りしますね」
と笑顔で別れようとしたすれ違いざまに
王子が私の耳元で
「やっぱり面白いなお前。
今度覚悟しておけよ」
と言ってきた。
私の酔いはいっぺんに覚めた。
そんな残念な週末を過ごした。