好きにならずにいられない

「今井さん
おはようございます
昨日は残業させてしまってすみませんでした
これはお礼です」

と紙袋を渡された。
中を見るとチョコレートとウサギのキーホルダーそしてメッセージカードも入っていた。

「こちらこそすみません」

とプレゼントをもらえる事は単純に嬉しくまた可愛い物が大好きな私としては本当に嬉しくて笑顔で

「ありがとうございます」

と感謝の気持ちを言った。

すると岡田さんは照れたように帰っていった。

岡田さんが総務部を出ると他の女子達ステキと口々に騒いで大変な事になっていた。

私はそのウサギが嬉しくてルンルンだったがメッセージカードを読んで

「勝手にどっかに行くな
心配するだろ
あとこれが俺の連絡先だから絶対に今日中に連絡する事」

さっきまでの幸せな気分はなくなり朝から落ち込まずにはいられなかった。

そんな重い気持ちの中、定時になり会社を出た。

会社を出ると秀一と遭遇した。

「お疲れ」

「帰るの?
ちょっと待ってて
すぐ終わるから一緒に帰ろう
久しぶりに舞のパスタが食べたいし」

と私の気持ちも知らず話しかけてきた。

「良いよ
でも疲れて早く帰りたいからすぐ来て」

「はぁい」

私は会社のロビーで秀一を待っていた。
すると今度は岡田さんと会った。

「お疲れさまです」

「お疲れさま
ちゃんとメモ見たか?
連絡待ってるからな」

と笑顔で言ってくる。

偽物かも知れない笑顔にドキッとする私がいる。前まで感じなかったドキドキだ。

そんな会話をしていると秀一が

「お待たせ」

と声をかけてきた。

岡田さんに気付いたらしく

「お疲れさまです
お先に失礼します」

「今井さんと帰るの?」

「はい
久しぶりに舞のパスタ食べる予定なんです
見かけによらず料理上手いんですよ」

なんて余分なことまで言っている。

「じゃあ今度、僕もご馳走になろうかな」

なんて冗談を言いつつ秀一にわからないように私を睨み去っていった。

秀一とゴハンを食べのんびりしてると

「なぁ岡田さんとなんかあった?
この前飲んだときに舞のこと根掘り葉掘り聞かれてさぁ」

「私を自分のストーカーと思ってたみたいだからじゃないかな?
この前そんな事を確認されたし」

「へぇそんな事があったんだな
あともし舞が岡田さん好きになったならちゃんと言えよ
俺が彼氏のふりしてたら上手くいくものもいかなくなるし」

「わかってる
好きになんてならないから大丈夫
私はまだ恋愛は遠慮したいし」

「そうかぁ
でもさっき岡田さんと話してる舞は恋する乙女みたいな感じだったけど」

と笑いながらも真剣に言ってくれる。

自分でも気持ちがまだわからない。

ちゃんと話したのは最近だし変な出逢いだったしこの前も酔ってグダグタになってしまったし。

そして遊ばれたくないし1回限りの関係なのもイヤ。

彼の本当の姿を知っているだけに簡単に好きにはなれない。

でも少しづつ気になっているのも本当で。
なので結局、近付かないのが一番という結果になってしまう。

だがなぜかそれが許さない状況になっていてなかなか複雑な状況なのだ。

そのまま秀一が泊まるとこになりふたりでちょこっと飲んで色んな事を話たり気楽な時間を過ごし岡田さんの連絡をすっかり忘れてその日は終わった。



















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