僕らの空は群青色
「帰り道、どう帰ったか、何時頃家に着いたのか覚えていない。頭ん中はぐちゃぐちゃで、自分が何をしているのかわからなかった。自転車に蹴躓いたり、車に轢かれそうになりながら帰ったんだと思う。混乱してた。ただ他にたくさんのことが見えて、たくさんのことが理解できた。俺一人が家族の中で余計だったってこと。あの三人のホームドラマみたいな幸福。俺じゃあ百年経っても参加できないと思ってた。当たり前だ。俺一人、家族じゃなかったんだから。そして俺一人が何も知らなかった。ばあさんが、深空がお袋に似てきたと言った時、思えば連中緊張した顔してたよ。あいつら全部知ってたんだ。あいつら三人は本物の家族なんだから。俺は道化以下だったよ。扱いにくいペット程度だとわかった。お袋にとっては余計。だって、あの女の実子はもう一人いて、あの女はそっちさえいればいいんだから」

渡は静かに語った。その日のことをまるで昨日のことのように話す。
それは、まだ渡の心がその時間に留まっているからかもしれない。

「深空のことを考えた。笑えることに深空は俺の血のつながった姉貴だった。俺はあいつを許せないと思った。あいつは俺だから優しくしていたんじゃない。血を分けた弟だから優しくしていたんだ。面倒事を起こさないように。……偽善者め。ずっと事実を知りながら、俺におこぼれの愛情をくれていたんだよ。半分血のつながった不良崩れの弟に聖母ぶって優しい顔をして満足していたんだ」


本当にそうだろうか。僕は心の中で思ったけれど、口にしない。
渡は僕の言わんとすることを察した様子で、力なく首を振った。
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