僕らの空は群青色
「誰も来ない時間を見計らって病院に行った。死ぬやつばかりがいるフロアに深空の病室があった。俺はそこで眠っている深空を見て、本当に本当に悲しくなったんだ。自分でやっておいてなんだと思うだろ。でも、どうしようもなく悲しかった。だって深空は十八歳のあの夜からほとんど変わっていなかったんだ。随分痩せて、腕に点滴がくっついてたけど、他は何も。俺はそれでわかった。やはり俺はあの夜に深空を殺したんだ。そして今もなお殺し続けているんだ。あいつの心臓が止まるまで三年間………いやもっとかかるかもしれない……俺は今もあいつの首を締め続けて……」

「もういいよ、渡」

僕は言った。渡は泣いていた。
見開いた目から大粒の滴がぼろぼろと落ちて、渡はそれを拭うことも忘れ、暗い公園の草むらを見つめていた。
膝の上で握り締めた拳が痙攣したように震える。

「俺は……今この瞬間も殺人者なんだ。深空が死ぬまでの間……ずっと毎日何度でもあいつを殺し続ける。いつかあいつは死ぬ。俺の手で死ぬ。でもたとえあいつが死んでも、俺の残りの人生は贖罪にすらならない。俺は死ぬこともできなかった。ただの消化試合だ。意味を持たない。人混みに紛れて、ひとりでいつかこっそり死ぬんだ」

渡はかすれた声で言った。
ジーンズの膝に涙がぶつかってぱたぱたと音をたてる。

僕は耐え難くなって言った。渡の横顔を見つめ、低くはっきりと。

「僕は……それでも友達だから」

「恒……」

「だから死ぬときは、ひとりでこっそりには……ならないよ」

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