【完】クールな君に告白します



「ご、ごめんなさいっ!閉めますから!」



慌てて窓を閉めた月城のさっきまでの笑みは、季節外れの蜃気楼のように、夕陽の中へ溶けていった。



「……やっぱり、か……」


「な、なんですか………?」



深く考えないようにしていたけど。

今の一瞬で、やっぱりどこかで見覚えのある顔だと思ったことが、戸惑いを覚えながらも確信へと変わった。



「……寒いって言ったんだよ」



オレが無愛想に答えると、やっぱり慌てて口と手を大袈裟に動かして謝る月城の横顔を、暫く眺めていた。



< 100 / 563 >

この作品をシェア

pagetop