【完】クールな君に告白します
* * *
鏡もブラシもない場所で、ただでさえ癖の強い髪を直すのはかなり至難の業で、悪戦苦闘している私に注がれる視線。
「……えっと、椎名くん。さっきは、いきなり叫んだりしてごめんなさい……」
ああ、もう………っ!!
結局のところ、煩わしいことをしてるのは私なんじゃないかな……?
絶対……また、椎名くんは眉間に皺を作った顔をしているに違いない。
「……オレも悪かった。少し強引すぎた」
え……?
予想とは裏腹に、少しだけ眉を下げて謝罪の言葉を伝える椎名くんは、私の髪にそっと触れた。