【完】クールな君に告白します



椎名くんが人気者なことは高校に入ってすぐに耳にした情報だった。


……と、いうか。


嫌でも毎日のように名前を聞かない日はない程で、告白してはこっぴどく振られて泣いて帰ってくる女の子達は、数知れずで……。


私とは住む世界が違う異国の男の子と思っていたくらいだし、ナンバーワンの王子様に選ばれるのも当然の結果で。



「ねぇ、次の創立記念祭は、わたしと一緒に回ってくれない?」


「わ………私、なんか、とっ!?」


「そんなすごい王子様に惚れられて、月城さん取られちゃうから、その前に先に言っちゃったの」


“予約ね”……と。

正木さんが可愛く笑ってくれた周囲では、“誰も不気味ちゃんなんか取らないよ、むしろどうぞご自由にお持ちくださいませ”……と、みんなの心の声が聞こえた気がした。



「う、嬉しい……っ、です。正木さんが、私なんか……」



……と、感激したその時だった。



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