【完】クールな君に告白します
「正木さんってば、可哀想……不気味ちゃんがいつも当たり前に一人ぼっちだから仕方なく、声かけてあげてるだけなのにね?」
ドキリッ……と、鼓動が大きく跳ね上がる。
教室の出口から刺すような声が聞こえて振り向けば、春風さんが酷く怖い顔で私を見ていた。
「ねーっ?わたしは、呪われてもいいって思ってあげるなんて、聖母か天使にでもなったつもり?」
「……周りに白い目で見られるなんて、私達なら耐えられないって話だよ、マジで」
次々に放たれた棘のように刺さる言葉と、決して私を見ない数人の女の子達がクスッと楽しげに笑った。
ーーーけど、春風さんだけは、どこか違った。
「椎名くんを奪われるくらいなら、陽菜が本気で奪い返すだけだけど……ね?」
ーーー“不気味ちゃんには、不気味らしくいてもらわないと、困るんだから”
そう呟けば、横顔だけを見せて、最後に能面のような笑みを零すと、私のクラスから離れていった。