【完】クールな君に告白します



………その時、突然、誰もいないはずの体育館裏から大きな音が聞こえてきた。


いやいや、こんな寒い中ここにいるのなんて、最早私しかいないはずじゃ……。


えっ……、私、私まさか。


もしかして、本当に自ら浮遊霊でも呼び寄せてしまったの?


私がいる場所からその先は体育館裏のさらに奥で、去年まではバスケ部の自主練用に、たまに使われていたらしいけど、そんなところに誰かがいるはずがないのに。



「……ちっ、」



ま、まさかの舌打ちーーー!?


舌打ちする幽霊なんて聞いたことないんですが。


ドンッ、ドンッ……と、私が恐る恐る近づけば、再び音は大きく響いた。


地面に伝わる震動が、私の冷えきった身体まで届いて。


聞き覚えのあるその音にハッとした時には、外壁に貼り付いてそっと顔を出していた。



ーーーこの音の正体を私は知っていたから。



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