【完】クールな君に告白します



な、なんなんですかっ、この人は……。


あの、クール王子と言われている椎名くんのことを、“クソ王子”……って呼ぶなんて。


もちろん、日常茶飯事である女の子の告白を受け入れることもなく、その冷酷っぷりの知名度から、“漆黒のプリンス”と、別名を持っているけど。




「おい不気味、お前聞いてんのかよ?」


「………、」


「ったく。ほんとに黒いオーラ放ってんだな?」


「……っ、」



国崎くんの無遠慮に投げかけられる言葉に、ペタリと外壁に貼り付けた背中が硬直して、逃げ出したいのに動くことが出来ない。



ーーードンッ!



「……ヒッ!!」



心臓が飛び出しそうになったのは、国崎くんが私の頭の横に乱暴に両手をついたから。



「ふーん」



その腕の中に圧倒される私を閉じ込めると、唇を吊り上げて妖しい笑みを漏らす。



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