【完】クールな君に告白します
……さっきとは打って変わって、静寂に包まれた体育館裏のこの場所で、国崎くんの力強い腕がゆっくりと解かれた。
「……不気味、てめぇ、」
ゆっくりと、視界の隅に私を映せば怒りのこもった声を投げてくる。
どうしよう……。
微かに潤いの残る瞳をごしごしと拭って見上げれば、眉の間に皺を寄せて見下ろす国崎くんがいる。
「なんで、オレがお前を隠さなきゃなんねぇんだよ……」
深い溜め息と一緒にオレンジ色のウェーブをくしゃりと掻き乱せば、額から流れ落ちる一滴の汗。
「………ごめんなさい。本当に、練習の邪魔までしておいて」
きっと、ここは国崎くんの一人きりの練習スポットだったんだろう、とさっきの会話から察した私は謝罪するしかなかった。