【完】クールな君に告白します



「別に、ここは今じゃ誰も使ってねぇから練習に調度いいだけだ。っ、てかもう泣くんじゃねぇよ、めんどくせぇな」



言い訳のしようもない。


けど、国崎くんが咄嗟に私の存在を隠してくれて救われたのは事実だ。


それでも、取り乱した心が落ち着くことがないのは、梶先輩の心地よい声がまだ耳に残っているから。


まさか突然現れた梶 貴臣(かじ たかおみ)先輩。


私の……“告白”したい相手。



「てかお前……不気味が、何で梶のこと知ってんだよ?」


「……っ、ほんとに、ごめんなさい!」


「はっ?」



私は、国崎くんの呆気に取られる声とほぼ同時に、その場から逃げるように走り出していた。



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