【完】クールな君に告白します
・意地悪な彼の正体



図書室の窓辺は私の特等席だった。


ーーー“梶さん、引退したけど、まだ放課後にコーチしてくれるんだってよ!”


それは一年の頃に聞いた話だった。


その日から私は、一番よく体育館が見える場所を探していて、やっと見つけたのがこの図書室。



ボールの弾む音も、シューズの擦れる音も、耳を澄ませば風に乗って聞こえてくる。


何度も何度もこの場所から眺めては思った。


ーーー手が届いたらいいのにって。


あそこには梶先輩がいるから………。

 
どうしても、もう一度だけ伝えたいことがある。


けど……先輩に、ずっと会いたいと思っていたのに。


まだ、今の私じゃとても会えない。



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