【完】クールな君に告白します
じゃあ、椎名くんはどうしてそんな複雑そうな表情をしているの?
どうして、ほんの少し切ない瞳で私から目を逸らさないんだろう……。
だから、私まで動けなくなっちゃうんだよ。
私が机に視線を向けるよりも速く、椎名くんの手は私の手首を掴んでいた。
「うっそ………!?」
「やっ、やだ。椎名くんってば!いくら好きなタイプって公言したからって何で手なんかっ……」
いきなり、みんなが見てる前で………。
キャーキャーとあちこちから飛んでくるみんなの声は、まるで世界の終わりのように響きをあげているけど、椎名くんの表情は揺らぐことがない。